
あれは2人が一緒になる覚悟を何度も確認し合っていた頃の話だ。
今と同じ2月頃の寒い夜にオレは、再度、再度、再々度、神戸に出向いて行った。真夜中の高速道路を約3時間走り続けてぼろぼろになって辿り着いたオレ。残業疲れの中、待ちに待ちくたびれている彼女。
とりあえず落ち着きたいの一心で目の前に出てきた大きなシティーホテルに車を入れた。ただっ広いロビーのあちこちで人形みたいな化粧したコギャルや、ジーンズを尻までズらしたガキンチョたちが携帯電話を手にして遊んでいる。彼女の話ではかなりの高級Hだそうだが、オレにはそうは思えなかった。
若いフロント係りが「ダブルでもツインでもおとりできます」といったあと、奥の誰かに呼ばれて「少々、お待ちを」と引っ込んだ。待つこと数分。やっと出てきたと思ったら今度は「申し訳ありませんが・・・」ときたではないか。なんやて? ならさっきの「おとりできます」は、なんやったんやねん。なんとオレたちは宿泊拒否をされたのである。
考えてみれば、白髪の白ヒゲの男が、娘のごときバリバリのキャリアウーマンと、それも深夜の2時、3時にダブルの部屋を、ともなれば不倫、援交、売買春・・・かと疑われても仕方ないかも。だが、もし「父娘」の関係に視えたのなら同部屋もあり得る話だ。しかし、しかし、しかしだなぁ、宿泊拒否をされたということは「男と女」の関係に視えたということになる。―ということは、オレもまだまだ、まんざらでもないということになるのかぁ。