
この春、車で片道30分の道程を20年にあまって通い続けていたラーメン屋が突然、閉めてしまった。
今や、当地香川は「さぬきうどん」が代名詞になっている。「うどんは小麦粉と塩と水だけ、そして安価でしかも短時間で出てくるが、中華は、材料、調味料、それに手間もかかるから割高になる。だから給料日前はギョーザも出ない」と、この行きつけの店のおやじから聞いたことがある。それでラーメン屋が育たない、いや、もたないのかも知れない。オレは讃岐人だが中華が大スキだ。友人と2人で大ジョッキの生ビール6杯、特大どんぶりの味噌ラーメン2つ、ギョーザを75個も食って記録を作ったことがあるくらい、確かにこの店は旨かった。この馴染みの店がなくなって以来、ラーメン、ギョーザから足が遠のいてしまった。
そんな矢先に三木町のベルシティーというショッピングモールの近くで面白い店を見つけて入ってみた。すると「ハーイ」と黒ヒゲをたくわえたのインド人の店主らしきが右手を上げて愛想よく出迎えてくれたではないか。互いの黒ヒゲと白ヒゲが一発で意気投合したように思い込み、車で片道40分の道程をまた通い始めることにした。
この店では、カレーの辛度が50段階もあると聞いて、即座に「50!」を注文したら、なんと「やめとけ」ときた。インドから香川に移り住んで25年くらいというだけあって讃岐弁も黒帯だ。しかし50はかなり辛そうだが、ファイトが沸く。普通の人は辛度1〜5くらいらしいが、オレはとりあえず10から始めた。回を重ねる毎に20、25、30と度数を上げていった。30ともなると汗が噴出す。回りは痛そうな顔をしている。しかしオレはまだまだだ。そしてとうとう「50!」と手で合図したら、今度はパキスタン人の店長が目を丸めて「35にしとけ」。50までの道程はかなり遠いようだ。
夏が過ぎて、今度こそ!と勇んで出向いたら、なんと、またその店がなくなっていた。よって50の夢は叶わなかった。
オレはカウンターでビールや酒を呑みながら店主と会話が交わせるような食事処がいい。くさい・きたない・コッテリ・からいの4K料理が特にスキなんだよなあ。次はどんな店と出会うのだろうか。

今や日本はお犬様天国。
「キャンプをするなら動物病院とドッグカフェが近くにある処がいい」と犬専門家とやらがテレビでアホなことを言っていた。キャンプするような辺鄙な処にそんなもんがあるわけないやん!
インしてすぐの客が「ドッグランはどこ?」と聞いてきたから、目の前の敷地内すべてがそうだ、と教えると、「柵で囲んだ狭い場所はないのか?」と妙な反応。なんでやねん? と聞き返すと「こんな広いところで放したら帰ってこなくなる」。そんな犬に誰がしたんや!
「吠えるのと飛びつくのと噛み付くのをなんとかして」と泣きついたくせに、「ならやりましょか」と腕まくりした途端、「なにすんですか!?」とバカ犬を抱きしめ涙をためている。なら自力でやれ!
ある雑誌に[大型犬と飼い主がいっしょにお風呂に浸かっている写真]が載っていた。いくらかわいいからといってもそこまでするかぁ。あ〜気色わる〜。
ペット同伴宿泊の予約が入った。
「犬種は?」と尋ねると「えーっ・・・」といったきり返事がない。再度、小型犬か大型犬か尋ねると「セントバーナードにゴールデンに・・・えええっと・・・パグにチワワ」。!?、いったい何匹おるんですか? ゲヘーッ、人間2人に犬17匹?!。そういやあ、飼い主の声が聞きとれないほど電話口でやかましいワン、キャンが聴こえとるわい。「まことに申し訳ありませんが」としかいえんやろう。
「どんなに訓練して仕付けても飼い主に返した途端、もとの黙阿弥」。これは多くの訓練士たちのぼやきである。犬の仕付けは飼い主次第。本当にかわいいと思うのなら、ダメなことはダメ! と、飼い主自身がはっきり、じっくり教え込むことである。

うちのようなペンション業を長〜くやっていると、訪れるお客さんからいろいろなお土産やプレゼントをもらうことが多い。単にお土産・プレゼントといっても饅頭、せんべい、クッキー、お酒からはじまって、ウッソー! と驚くのもある。
中には、淡路島から軽トラックで玉ねぎが、岡山から大量のレンコンが、大阪から採れたての新米30キロ、というのもあれば、イタリアングレーハウンドという日本では珍しい犬をプレゼントしたいと連れてきた客もいる。
記念すべき20年目となる今年は大変なプレゼントのオンパレードで、うちのロゴ入りでアメリカブランドのTシャツ数百枚、という金のかかったのもあれば「Oh! Beautiful Mountain Domu」というテーマソングCDまであった。
しかし今日、枚方のロイヤルカスタマー夫妻から「ちゃんとした結婚式をしてやっていないわが愛妻のために」、なんとウエディングドレス一式をもらったのにはたまげた。涙、涙の女房とは反対に、オレは「ありがとう」の言葉より「えっ?! なに?! それどしたん?!」が先に出たらしい。よくは覚えていない。しっかし・・・この夫婦はいつもやることが半端やない!
今までにもブルドーザーやクレーン車やショベルカー、中でも高価なのは時価、数百万円もするログハウス用の丸太までもらったことがある。その都度「オレは人に恵まれる、ほんまに得な性分なんや」とあたりかまわず自慢してきたが、今回のウエディングドレスはまったく違うんやなぁ。意味合いが・・・。男ロマンだけを生きがいに見栄を張って突き進んできた無骨なオレだが、こんな全身がフニャッ、となりそうな素直なショックを受けたことはない。うまく表せないが、ロマンチック・ファンタジーとでもいいたい。ほんとにありがとう、だ。うちの専属ミュージシャン・シン&タケちゃんに頼んで「涙のウエディングドレス」なんてタイトルの曲を作ってもらおうっと。

うちのHPに「歳の差カップル」というコーナーがある。歳の差ひと回り、12歳差以上が登場条件だ。
最近は訪れるお客さんたちに、いわゆるバツイチカップルが珍しくなくなってきた。中には×2、×3もけっこういる。
♪ ダンナの薄い頭から判断して、ひと回りくらいはなれているのか? と、つ い口をすべらしたら、「同い歳です!」と大阪のA夫妻から叱られた。
♪ 父娘かと思ったら、ダンナが75才で奥方が22才も歳下という横浜のB夫妻も いた。
♪ 真っ赤な帽子、真っ赤なTシャツ、真っ赤なパンツで走り回る淡路からきた ダンナSさんに、ハデやねえ、と声をかけたら「今年、還暦なんや」。なるほ どぉ、それでオールレッドなんやぁ。ところがてっきり娘さんとばっかり思って いた女性は、なんとふたまわり近く、23才も歳下の奥方様だったのである。その ダンナ様に「歳の差カップルの会長やってよ」と頼むと、「犯罪者の会か」とき た。それなに?「娘のような若い嫁さんをもらうのは犯罪者以外の何ものでもな いやろ」。さすが複数の孫を持つ、当時、60才の含蓄あるお言葉だった。
♪ 岡山から毎年やってくるK夫妻のダンナは47才、嫁さんは15才歳下。『その 歳の差が結婚の障害にはならなかったのか?」と問うと、「恋愛期間中に彼の頭 髪が抜け落ちようとも、二人の絆は岩よりも固かった」と、のろけられた。
♪ 徳島からやってきたG夫妻のダンナは×1の42才。嫁さんは16才歳下。「他に もっといい男いなかったん?」と、つい口をすべらしたら、「お・か・ね。お金 よー!」。なんと26才の嫁さんが指でわっか輪っかを作って見せたではない か。これにはさすがのオレも「ピー、ピー、ピー」。今頃、金の切れ目が縁の切 れ目になっていなければいいけど・・・。
♪ 奈良からやってきたとH夫妻のダンナも×1の47才。まわりにいたよそのダ ンナ連中が「ええ女やなー」と声をそろえたほどの嫁さんは19才歳下。9年も の恋愛期間の末に結ばれたというから、なんと彼女が17才の頃である。ダンナ さん曰く「娘のような美人妻相手なら夫婦ゲンカなど起こらない」。ごちそうさ ま〜。
♪ 高松のY夫婦はダンナが55才の×1。今の嫁さんとの歳の差14才。現在、2 児のパパ。この元気さは「お見事!」の一言である。「最愛の妻や愛娘たちのが いてくれるからこそがんばれるんです」。これは亭主の鏡だ。
♪ 大阪の自称、建設業とミュージシャンをかけもっているという30才の♂ と、高校生の息子がいるという42才の×1♀。彼女も自称ミュージシャンとい う。彼がギター、彼女がドラムスでステージライブの結婚式をやるのが夢だそう だ。歳の差ひとまわりにもかかわらず、お笑いの息がぴったんこで、予想に反し てなかなか好感の持てるカップルだった。彼女曰く「若い男をみるとほっておけ なくなる女もいるんよ」。これこそ女の鏡である。
♪ 京都からやってきたX夫妻の嫁さんはアニメの世界からやってきたような舌 足らずのブリッコ。それに引き換え、ダンナはどこかの教祖様にうりふたつ。そ れが災いし、警察に逮捕された経歴がほんとにあるという。一言「気の毒」とし かいいようがなかった。
♪ 大阪から来たD夫婦が『われわれはマルサンなんです」と自ら話しかけて きたから、夫婦揃って税務署勤務か? ときき返したら、「×3ではなくて○3 だ』という。どう違うんや? 「初恋同士が回りまわって三度目にめでたく結ば れた」という単なるのろけ話だった。
♪ オレに「これぞ金のわらじ」といわせた9才歳上女房という北九州のおしど りC夫婦もいる。ここの奥方、誰がどこからみても三十路の後半にしか見えない のに、オレとたったの7つ違いとは・・・。いまだに信じられないでいる。
そういやぁ、オレの女房も21才歳下だ。そんな娘のような愛妻に、オレといっしょになろうと決めたのは? と、恐る恐る問うと、
「外国では父娘ほど年の離れた夫婦など、ごまんといるもん」。
「同世代の男たちではすべてにおいてもの足りなさがあったもん」。
「あなたには尊敬と憧れと渋さがあったもん」。
なんと男冥利に尽きる泣かせる話ではないか。ここまでいわれると「死ぬまで愛してやる。けど、最後ま で捨てないでくれよな」といいそうになり、ヘイ! チャッ ク!
歳の差夫婦はみんな仲がいい。それは過去の結婚生活と同じ過ちを犯したくないからだろうか。