
いつものことだが紅葉シーズンになると高齢者の見物客が増える。
そのお客さんたちが日が落ちるとともに帰路につく。
そんなとき、一人の中年男性がカフェに現れた。
話に聞くと、30年ぶりに訪ねてきたという。
「昔、おられた白ひげさんはもう引退されたのですか?」
ときた。
私がそうだというと、
「えっ、僕が学生の頃、お会いしたのは70才くらいだったのでは?」
と返ってきた。
時折ある笑い話の一つである。
私は当施設を建設し始めたのは38歳のとき。その時のわずか二か月間であっという間に髪とヒゲが真っ白になってしまった。
以来、年齢を問われる度に面倒くさくて「70才」で通してきた。
それが今や真の70才超えだが、彼の想い出の中では100才超えだったようだ。凄い話である。
「また来ますから、これからもお元気でいてくださいね」
で記念写真と握手で帰途に就いた。
彼は今、小学校の教員だそうだ。
しかしまあ、なにはともあれ、30年も前のお客さんが逢いに来てくれるというのは感慨深いものがある。
◆お客さんが画いた白ヒゲおやじの似顔絵