
昨年暮れに、脚本家志望のミセス・ユカリちゃんから「OHKのシナリオ部門で賞をもらった」とのメールが入った。ほんとにおめでとうだ。
ところでオレの念願の一つに、マウンテンドームが「NHKの朝ドラの舞台になること」がある。
何年か前に、その夢を実現するために自ら脚本を書こうと独学で勉強し始めた。書き始めてすぐの作品を、試しにITサイトに投稿したところ、一発でネット公開を迫られた。このときはネタをパクられるのがイヤで断った。
その後、高松市が主催するシナリオ教室に特別参加できることになり、通うことにした。
数ヵ月後、このときの女性講師から「あなたの作品を私の名前で・・・」と、かなりムシのいい共同執筆の話が持ちかけられた。しかしプロの目にとまったというラッキーさも捨てられない。そこで、どうしてこんな素人ライターと? と疑問を投げかけてみたら、
「あなた、頭もヒゲも白いですけど私と同い年ですよ。それがこんなカウボーイのような格好して、真っ赤なジープに乗って、チエーンソー振り回して。こんな男、ネタにしない手はないじゃないですか」
ときたではないか。オレって、そんなに派手か? まぁ、そんなことはどっちでもええ。世の中、ギブ&テイクや! で即座にOKした。
しばらくして大阪の某TV局で「白ヒゲおやじの連続ドラマ」の話が持ち上がっている、と知らされ、ヒゲを引っ張ってみたら痛かった。
ところが夢の連続テレビドラマ実現に際して、第一番目に「白ヒゲおやじ役を誰にするか」という問題にぶち当たった。
テレビ局側は「津川雅彦」一本やり。
当時、「暴れん坊将軍」を書いていたその女性脚本家は「松平健にGパンをはかせたら視聴率が稼げる」と譲らない。しかし、どちらもオレのタイプやない。
植松おさみちゃんに相談すると「TV局が大事なのは視聴率なんです。たったら加山雄三でしょう」ときた。確かに若大将は憧れのひとであるが、オレはおだてられたて木に登るブタやない。
オレはマジで「河島英五」しかいないと考えていた。なぜなら、バイクにまたがり、酒ビン片手に、ギター抱えてぶっきらぼうに歌う勇姿がそっくりだから。しかしこのときすでに彼はこの世の人ではなかったのだ。
結局はこのキャスティングがまとまらず、連続テレビドラマの話は自然消滅してしまったように聞いている。当然、悔いが残って当たり前。たが、話題に上っただけでも自慢できる夢物語であると今でも思っている。