
いつものことだが紅葉シーズンになると高齢者の見物客が増える。
そのお客さんたちが日が落ちるとともに帰路につく。
そんなとき、一人の中年男性がカフェに現れた。
話に聞くと、30年ぶりに訪ねてきたという。
「昔、おられた白ひげさんはもう引退されたのですか?」
ときた。
私がそうだというと、
「えっ、僕が学生の頃、お会いしたのは70才くらいだったのでは?」
と返ってきた。
時折ある笑い話の一つである。
私は当施設を建設し始めたのは38歳のとき。その時のわずか二か月間であっという間に髪とヒゲが真っ白になってしまった。
以来、年齢を問われる度に面倒くさくて「70才」で通してきた。
それが今や真の70才超えだが、彼の想い出の中では100才超えだったようだ。凄い話である。
「また来ますから、これからもお元気でいてくださいね」
で記念写真と握手で帰途に就いた。
彼は今、小学校の教員だそうだ。
しかしまあ、なにはともあれ、30年も前のお客さんが逢いに来てくれるというのは感慨深いものがある。
◆お客さんが画いた白ヒゲおやじの似顔絵

ここ柏原渓谷は県内屈指の紅葉の名所。
今は紅葉真っ盛り。
珍しいところでは暖かい秋のせいか15年目の百日紅の葉が初めて赤く染まっている。
ナンテンの赤も、さざんかの赤も、ナナカマドの赤も。
黄色くなったケヤキや黄モミジ。
中でも廃校に立つ大イチョウは必見ものである。
◆写真は15年目で初めて赤く染まっ百日紅の紅葉

私が国内最大級と騒がれたログペンションの建築を開始したのは38才のとき、その途中のわずか二か月間で私のヒゲと髪は白くなってしまった。以来、古稀を過ぎた現在まで「白ヒゲおやじ」で通してきた。
その間、訪れるお客さんの老いも若きもがワインのコルク栓を焼いた炭で「ヒゲ」を画くのが流行りになっていった。
そもそもは、出身地も職業も言葉も異なるお客さんたちが、年齢も上下関係も取り払い、
人生相談や、ログハウス建設とか、自然の中の生活とか、どうして若くして白ヒゲおやじになったのか、
などなどを話題にして和気藹々と盛り上がる非日常を体験しようとする目的からヒゲ仲間が増えていったのである。
そのヒゲ画きも今では懐かしい思い出の一つである。
試しにあなたも画いてみてはどうですか。
◆写真は今では立派な成人になった白ヒゲ好みの昔の悪ガキたち。

当宿の創業開始は32年前の1988年。瀬戸大橋架橋の年である。
間違ってもペットを連れて旅をするような時代ではなかった。
そんな当時、シェルティー同伴でよくお泊り頂いた某創作舞踊研究所の先生ご夫妻がいた。
四季を通じて、可哀そうにも愛犬はいつも車中泊。
それを見かねた私は、このご夫婦用に・・・と、全国でも稀なペットと泊まれる第一号コテージを造ったのである。
-ところがなんと、
「白ヒゲさんのご好意はありがたいですが、私たちが好きで来ている県内唯一の手つかずの自然界に、
いくら子供同然の愛犬といえども、このこの毛一本、落としたくない」から、とノーサンキュー。
-以後、ご主人が亡くなられるまで、その愛犬はいつものナップサックから首だけ出して、そして尚且つ、車中泊を続けた。
そんなご夫妻だから、他の客が目覚める前に散歩する。喧しいワンキャンなど一度も聞いたことがなかった。
これが当宿のペットと泊まれる宿のスタートとなったのである。
今やこんな◎客は皆無である。
ペット同伴旅行も、ハスキー犬から始まってゴールデンやラブを経て、今や小型犬の「お犬様」の時代になってしまった。
「最近、ペットと泊まれる宿が少ないですねえ」の声を聞く度に、
「ワンキャンもひどいけど、糞の始末もできない愛犬家が激増したためペットと泊まれる宿が激減しているんですよ」というと、
「へえーっ、そんなマナーの悪い人がいるなんて信じられない」と返ってくる。
その度に、「そういうあんたも・・・」と、言い返したいのを我慢して口にチャックして耐えている。
ちなみに当宿はペットOKの部屋とNOの部屋に分けているので、ペットのいないお客様は安心してお越しください。
◆写真は釣りバカ日誌の八郎こと中本賢さんと当宿の歴代の看板犬たち