
マウンテンドーム・サポーターの皆さん、2009年明けましておめでとうございます。
お正月早々、星の数ほどある日本酒の中から白ヒゲの独断と偏見で、讃岐の名酒アラカルトなるものをやってみよう。
☆ マウンテンドーム専属の酒屋の社長は、県内でもちょっと知られた商売人。その社長に、恐れ多くも「現金持参で仕入れに来い!」と偉そうにいう、県内でさえ知らない人もいるくらい小さな醸造元がある。これが白ヒゲが好んで呑む金毘羅の酒「凱陣(ガイジン)」である。
☆ マウンテンドーム建設当時のこと。毎夕、一羽の大きな鳥が敷地内の川原に舞い降りて来ていた。オレはてっきりアオサギだと思っていた。
そんなある夕暮れ時、川に向かって立ち○ョンしているオレの目の前にそのデカイのが舞い降りて来たではないか。アレを掴んだまま身を凝らせて見ていると、ヤツの頭に赤いものが、そして白い羽根に黒いところもある。「カメラ!」と思った瞬間、飛び去って行った。
夕飯時に「ツル・・・」と、ついぽろり。そしたら、「社長、知らんかったん? あいつ、毎日来とるよ」と仲間たち。知らなかったのはオレだけだったらしい。
―数年後、「川鶴酒造の社長が屋号にちなんで本物のツルを長年呼び続けていたら本物のツルが飛来した」という話を同酒造会社の役員さんから聞かされた。うちにやって来ていたのはそのツルだったらしい。
当時、この酒造会社の社長令嬢は美人姉妹で知られていたらしいが、次女が元ミスユニバースというのもオレは知らなかった。
☆1990年頃の大晦日の夜のこと。カウンターで呑んでいる一人客に声をかけた。
どちらから? 「東京です」。
お仕事は? 「東大で・・・」。
げへっ・・・、と・東大の教授さん!? 「ええ、まぁ」。
香川に来られた目的は? 「アレが目当てで」。
アレとはオレの後ろの棚に置いてあった長方形の木箱のことだった。
ご存知なんですか? 「ええ、恋焦がれたヤツなんですよ。売ってもらえますか?」。
・・・・・・。 「実は、品川にある行きつけの居酒屋の大将から、日本で三本の指に数えられる地酒が香川にあると聞いて」。
・・・・・・。 「いくらでもお支払いいたしますから」。
いやぁ、お金ではないんですよ。私も正月に親父へプレゼントしょうと・・・。 「そうだったんですかぁ」。
醸造元へは? 「今あるのは、ここの一本だけだそうです」。
・・・・・・。
他の客の相手をしながら、独り淋しく酒を呑る彼の姿を見ているうちに、つい、棚の木箱を彼の前にドーンと置いてしまった。
翌朝、彼は何度も頭を下げ、「昨晩、こいつを抱いて寝ましたよ」といい残し、木箱を抱えて東京に帰っていった。たかが酒、されど酒である。
ちなみにこの綾菊酒造の大古酒とは、会津桐で作られた白木の箱に入った7年熟成の純米大吟醸のことであり、年間約100本の限定で、当時で1本3万円もする高価な代物であった。
50年近く前の香川県下には50軒近くの酒造メーカーがあったときいたが、若い人の日本酒ばなれがすすんだ昨今は、それも3分の1くらいに減っているらしい。日本酒の能書きや楽しみ方は人それぞれ。オレの場合は地元綾菊酒造からもらい受けた4.5トンもある琺瑯びきの醸造タンクで手作りしたモモンガの湯に浸かり、雪見酒と洒落込むのが正月の恒例となっている。
―今ならそんな名酒が揃っております―