
オレは長年の山生活で度重なる骨折経験を持っている。現在も足首にチタンの板が2枚とボルトが9本入っている。それが原因で「靴」を履くと皮膚が破れて血がにじんでくるから、サンダルだけが頼りだった。しかし、いくらなんでも夫婦で真冬にお出かけするときにはさすがのオレも連れ立って歩く女房の手前、気が引けていた。
そんな昨年暮、これなら履ける! と夫婦ともに直感したフッシィング用の靴を、互いのささやかなクリスマスプレゼントも兼ねてペアーで購入した。
一昨日、それを見つけた稔ゅー君が、「ボクも欲しかったコロンビアの靴だぁ。このペアーシューズでブログ書いたら」と、のせてくれた。
コロンビア? レコードなら知っとるけど、靴も売っとんか? マジでオレは古いらしい。
♪ 古い話といえば、あれはオレが小学三年生の体育授業中のこと。クラス全員がクワやスコップを手に土俵を作っていた。そのときリヤカーの上で作業していたオレは、はずみで転倒し、鉄枠に右足首を挟まれて複雑骨折した。
ケガが治った後、学校の掃除の時間に雑巾がけをやっていて、廊下についた自分の足跡だけがみんなのヘチマ形と違うのに気がついた。なんとオレの足には“土踏まず”というヤツがなかったのである。
治るまで、ギブスと下駄を履いていたから、こんな足になったんか? と、おばあちゃんに聞くと、
「ベタ足は、戦争に行かんでもええから幸せなんよ」
ベ・タ・あ・し? し・あ・わ・せ?
「長距離歩行に向いてないから兵役検査で落ちるから幸せなんよ」
おばあちゃんは慰めてくれていたらしい。
・・・だけどそんなに珍しくていいものなら、『私の秘密』(当時のNHKの人気テレビ番組)に出てみようか、とオレは本気で考えていた。
「おまえ、ほんまに足が短いなぁ」
と、友達にいわれて沈没していたら、
「心配せんでもええよ。特攻隊員向きの理想の体型なんやから」
どうして?
「ゼロ戦乗りは、短足の方が狭い操縦席で有利なんよ」
おばあちゃんは何度も慰めてくれていたらしい。
大きくなってから、その意味がわかった。おばあちゃんは、オレを目の中に入れても痛くなかったようだ。♪
・・・ちと古過ぎたかな。
しかし、これなら、と手に入れたコロンビアのペアーシューズではあるが、キズだらけの偏平足にはやっぱり馴染めないようだ。